「主従関係10のお題」 6〜10


6 【誓い立て】


突如、数日間の出張を言い渡された。ある重要な任務の為に。
しかし、内心が思い切りこちらの顔に出ていたようで、僕を見上げつつ命令を下した相手は首を傾げる。
「何だ? 不満そうだな…おまえは補佐官で、僕の片腕で、信頼してるから頼んでるんだぞ」
「…それは嬉しいけど、離れるのは嫌だよ」
「え?」
「僕は君を守る為に傍にいたいんだ」
そう言うとマジックは随分と驚いた顔をして、次の瞬間頬を赤くしていた。

亡くなった父親に代わりに家族の長となり、総帥の座も継ぎ、未だ細いこの腕でどれだけのものを守ろうとしていたのだろう。
でも、守られる立場には慣れていない。

「君を守るよ」

この誓いは、同時に君の傍に居続ける手段ともなる。
君を手に入れる代償に結ぶ誓約。
それでも、心から大切で愛しくて。その存在を守りたい想いも、真実には違いない。


7 【弱み】


「君の弱みは判り易すぎる」
補佐官に任命した男から、言われた言葉。
家族への愛着を隠さない僕への助言か、忠告か。

知らないわけじゃない。
僕の今の立場を狙う輩は、直接僕を狙うだけではなく、弱みである弟達を攻めてくる可能性があることも。
心得て、考えつく限りの防御の手は打ってある。
それでも弟達を標的にする者がいれば、容赦するつもりは無い。

そう言っても、僕を見る男の目は納得はしていないようだ。
弱みを持つ事自体が不満なのだろうか。
でも、それを失えば────僕は僕でなくなる、と思う。
何より大切な、心の支えとなるもの。

「僕は、家族とおまえがいればいい。…この言葉の意味が判るか?」

見上げて、視線を合わせて。
放つ言葉に含まれる意味は、おまえも弱みのひとつなのだと。
それが弱点になろうとも、失いたくないものを手放すつもりはない、と。
簡単に男は判ったようで、「敵わないなあ」と苦笑しつつ抱き締められた。


常に僕を守ると誓う男。
この心地良いぬくもりを与えてくれる腕を、もしも失ったらどうなるだろうか。
心に無遠慮に入り込んで来たあの日から、おまえには、僕だけでなく自分自身も守る義務があるのだと。
その腕の中で小さく呟き、目を閉じた。


8 【下克上】


9 【支配する者される者】


10 【もう手放せない】


ちまちまと、思いついた時に呟きブログに書いてますー。
溜まったらまたここにUPします。


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