「ゾロ?」

引っくり返されて、ゾロを下から見上げる状態のまま、おそるおそる呼びかける。
完全に押し倒され、組み敷かれた状態。さっきとまるで逆の立場に少し焦る。
ちょっと待て、まさかココから立場逆転なんて無いだろーななんて思いつつ、下から腕を伸ばして再び、戒めたままの中心に触れる。

「ッあ…、」

眉を寄せて、その刺激に耐える様子に煽られて、ますます愛撫を激しくしていくと、ゾロの身体がおれの上でのたうった。
組み敷かれた状態での悪戯。
こーゆーのもイイかもなんて思ってる所へ、途切れる息で制止の言葉を吐き、力の入らない手でゾロがおれの手を押さえた。
「じっとしてろ…っ」
そう言って、おれの服(メイドさん…)のボタンに手をかけた。
どうやら、脱がせようとしているらしい。
「布がうざってェんだよッ……」
へえ? まあ確かに着ているおれも、動きが制限されてジャマだなーとは思ってはいたが。
触られるゾロの方も辛かったらしい。てゆか、過敏になった神経には、この布が触れるだけでも、それを性感として感じてしまう事が辛かったみてーだな。
ヒラヒラした柔らかい布地は、ゾロの身体全体を覆って、おれが動く度に舐めるように蠢いていたわけだし。
でもなあ、コレ。脱がしてくれるのは嬉しいけど。大変だぞ。
ボタンはいっぱいだし、背中じゃなくてわけわからん所(脇の下とか)にジッパーがあるし、身体のラインにピッタリくっつくシャツ…つか、ブラウスは、自分で脱ぐ時にでも首のあたりが攣りそーになるんだぜ。おれだって、さっさと脱げるなら脱いでるよ。セックスの最中ってな、相手の肌を直に感じるのがやっぱりイイもんな。
案の定、ゾロはうまく脱がせる事が出来ず、悪戦苦闘している。震える指で、小さくて沢山あるボタンをひとつひとつ外そうとするが、なかなか意のままにいかないようだ。
積極的にそういうコトをしてくれるのが何だか嬉しくて、しばらくその様子を、にんまりと眺めていたが、ゾロがその脱がす行為に没頭してしまい、そっちに意識が集中してるせいで中心が少し萎えてきてるのに気付いた。折角固く結んだリボンも、緩くなっちまってる。

「ひッ……あ!」

全然服は脱げてないけど、中断していた行為をおれは再開した。おれの腰の上に跨るゾロの下肢へと、再び手を伸ばし、奥の秘部を探る。
それと同時に、緩くなっていた戒めを解き、ソコも嬲ると、ゾロの身体が不安定に震えた。
「ぅあ…」
さっきまでの中心への愛撫のせいで、後ろの方まで湿っている。その滑りを広げながら、内部に指を入れようとすると、カナリ入口の筋肉の抵抗があったものの、僅かずつ受け入れていく。
侵入の衝撃で達しないよう、片方の手で弄んでいる中心を、微妙に刺激したり止めたり、根元を押さえつけたりしながら、後ろを慣らしていく。
首を横に振りながら、まだボタンにかかっていた手を外してとうとうおれの首に縋りついたゾロに
「メイドに犯されるってのも倒錯的で、こんなんもなかなかイイんじゃね?」
なんて、上半身を起こして、耳元で囁いてみた。返事はやっぱり「アホ」とか「バカ」とか、そんなボキャブラリーの少ない罵詈雑言だったけど。それも、掠れた喘ぎ声混じりで。
まあ、ボキャブラリーが豊富だったとしても、この状態では頭にまともに浮かばないだろーし、きちんと言葉にも出来ないだろうけどな。
「ほら…」
内部に挿し込んだ二本の指を広げ、ソコにおれの腰を押し付ける。スカートの布地越しでも判る昂ぶりに、ゾロの身体が、多分無意識に上に逃れようとするが。それを押し留めて、下から唇を合わせる。
しかしまァ、あれだな。このカッコはいただけないが、スカートってのは楽だな。捲り上げれば
すぐに下着を脱いで、直接こうして触れる事が出来るし。
指を抜き、先端で入口を何度か探ったあと、ゆっくりと下から挿し入れた。
衝撃にゾロが悲鳴を上げ、今度は意識的に上へと逃れるのを引き戻す。痛みで萎えないよう中心への愛撫も施しながら。
「…痛いか?」
そう問うと、首を横に振ったが、眉根を寄せて目を固く閉じている表情はかなり辛そうだ。
抱き締めたまま、暫く動かないで待つと、少しずつゾロの身体から力が抜けていくのが判った。

「……は………」

おれの首に縋りついたまま、荒い息を吐く。
相手を労わって、思うままに動けず焦れてるおれの方も、息が乱れて身体が熱い。
少しずつ、内部を探るように動かすと、おれの首から背中にかけて絡んだ腕は、益々強く抱きついてくるのに、腰は逃げるように浮く。それを引き戻して中を突き上げる行為に、段々と夢中になる。
辛そうだったゾロの方の表情は、今はおれの肩に顔を完全に埋めてて見えないけど。
耳元に感じる荒く熱い吐息や、手の中の昂ぶったモノに、痛みに勝る快楽を感じている事を知る。そういや、大分焦らしたもんなァ…。
「達きたい?」
耳元で聞いても、黙り込んで返事しない。とことん強情だなー。懇願するまで甚振ってやろーかなんてちょっと残酷な衝動に駆られたけど。
だけど。

おれと違って、好きだと認めてくれた事を思い出す。
コイツがいろいろ仕掛けなきゃ、おれは結局、辛くていつか諦めて、やがてこの屋敷を出ていただろうと思う。
こんなところでは強情だけど、自分の感情にはヘンに正直だったりするとこが可愛い。

「あ…ッ───!!」
深く突き上げると同時に、強めに手の中の張り詰めたモノを扱き、解放してやる。
一瞬固く身体を強張らせたゾロの身体から、やがて力が抜ける。
半ば気を失ったように弛緩した身体を、強く揺さぶり突き上げ、おれの方もすぐにその体内へと熱情を放出していた。

 


「大体てめーは素直じゃねーんだよなー。そこが可愛いんだけど」
余韻の残る身体をベッドに投げ出して、呼吸も整った頃におれはゾロにへばりついてピロートークならぬマシンガントーク状態でいろいろ喋っていた。ここんところずっと、ギクシャクと接していて、全然まともに喋ってなかったからその反動かもしれない。
「うるせェよ、てめぇ…」
呆れたようにおれを引き剥がそうとするゾロに「何だよ、おれの事好きなくせにー」とか不満を漏らしたら。
「調子に乗ンな、馬鹿」
と、背を向けて言われてしまった。…可愛いけど可愛くねーなー。
「でもホントだろー?」
「………………」
あ、怒った。
ソッポ向いて黙り込んでしまったゾロに、ごめんごめんと語りかけるが、無視しやがる。
そういうの見ると、逆に悪戯したくなるんだけどね。
人差し指で、まだ衣服を身につけてない綺麗な背筋をつーっとなぞり上げると。
「ぅわっ」
と叫び声を上げ、びくっと跳ね上がる身体。敏感だなーと改めて感動する。これは開発し甲斐がある…ってコレまたオヤジくさい事考えてる場合ではなく。
おれを振り返り、目の前で顔真っ赤にして怒ってるゾロへの対処を何とかしなきゃな。
ゴメンとまた謝って、柔らかく大事に抱き締める。ちょっとおとなしくなったのが可愛くて、耳元で好きだよとか甘ったるい台詞囁いたら。
「……お前ってヘンな奴……」
腕のなかでしみじみ言われてしまった。
おいおい何で愛の告白して変な奴扱いされねばいかんのか。
「同年代の奴でも、お前ほどずけずけ物言ってくる奴なんていなかったし…」
抱き締めた身体の力が少しずつ抜ける。声も少し眠そうだな。
しかしその台詞の内容を聞いて不安になったりして。どうも、家柄のせいで周りが恐縮するのか、それともあまり人懐っこいとは言えない、一見大人びた性格のせいか、友達があまりいなかったのは知っていた。
で、友情にも疎いのは判るが、その感情と恋とをゴッチャにしてんじゃねーだろーな?
それって子供の感覚とおんなじだぞ…まさかとは思うけど…。
そんな風に内心焦っていると、また前髪を撫でられた。
コイツって、おれの髪に触るのが好きらしいな。そうされるのは気持ちいいけど。
何度も柔らかく撫でられ梳かれていると、友情だろーが何だろーがどうでもいい気持ちになってくる。
コイツがおれを好きなのは確かな訳だし。少しずつカラダにもココロにもいろいろ教えてやるのもまた一興……って、さっきからどーも感覚がオヤジだなおれ。

オヤジといえば。
こいつの親父さん…ミホークに、こんなのバレたら殺されそうだな…;
それに、今回の婚約事件は狂言だったけど、ゾロが家だの何だのを背負っている現実は変わらない訳で。いつかまた同じような事が起きるかもしれない。
でももう多分、手放すなんて出来ないだろーな…。

「ま、その時はその時だ」

開き直って、メイドさんのままでも気にせず好き放題した根性は認めてほしいね。
ブライドも何も、好きだという感情の前ではほとんど無力だというのは判ったし。こうなったからには、形振りなんざ構ってられない。




眠ってしまったゾロを起こさないように、そっとベッドを離れ、おれは今日のいろいろな仕事を片付けるべく、服を整えて部屋の外へ出た。
このままだと、衝動のままにミホークに「息子さんをおれにください」とか宣言してしまいそーだな、なんて考えつつ。
…しかし、もしマジでそんなコトする場合は、せめてメイド服じゃなく、いつものスーツ姿で言いたいもんだと、改めて自分の衣服を見て溜息をついた。

 



途中から何だか思ったよりシリアス(?)になり、
メイド衣装をあんまり活用出来なかったのが残念無念。
話的には5話で終わってた気がするんで、あとは「メイドで
えろ書くぞー!」という決意だけな、話になってない物書いた気が。
すんまそん(寒!)
今回は、えろシーンは絵で描いた方が楽しかったかもしれないな。メイドだし。



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