シーツを握り締める手の甲に、血管が浮き上がっている。 強く握り締めているせいで、色すら失っていた。それを見てサンジが声をかける。 「力入れすぎ…。そんな辛い?」 「………………」 ただのしかばねの如く返事が無い。 ゾロは先程から全く声を上げない。指を入れた時、あれほどうるさく騒ぎ立てたというのに。 (本当に辛い時だと静かになるんだな) ローションのおかげで漸く全部飲み込ませる事が出来たが、潤滑材がなければ無理だっただろうなと思う程にそこはキツく。 相当身体には負担だろうに、ゾロは枕に突っ伏したまま、叫び声一つ上げなかった。 ただ、時折喉に引っかかったような吐息を漏らし、身体を強張らせる。 この辛さは、一応サンジとしては身をもって知ってはいるものの、ここで止めるのはこっちもかなり辛いなと思う程の快楽を感じていて。ここにきてやっと、3年前の相手の気持ちが判った気がするくらいだ。 (やめらんねーよ確かに、こりゃ…) 自身を包む熱さも、狭い粘膜の、無意識に異物を排除しようと収縮する動きも。 どうしようもなく昂ぶらせる。 そして、支配するのは身体のみでなく、精神にも及ぶ快楽、だ。 満たされる、征服欲。 女の子相手の行為においては、ひたすら大切に、辛い思いなどさせないよう奉仕していた。 快楽に溺れさせて、優しい言葉を沢山かけて、どこか気を使いつつ甘い時間を過ごすのが、今までのサンジの知るSEXだった。 でも今のこれは、この行為は、全然違う。 甘ったるい奉仕や言葉など望む相手ではないし、自分も女性に対するような、そんな扱いをする気にはならない。 筋肉を強張らせ、声を殺して若干震えながら耐える様子は、自覚した嗜虐心に更に火を点ける。 自分の下で。 腕の中で。 それも相手は、あのゾロなのだ。 閉じ込めた屈強な獲物を嬲るような高揚感は、あまりにも甘美に脳を支配する。 「……ぐ…」 僅かに腰を引き、すぐにまた奥まで突き入れると、枕に突っ伏した下から殺しきれなかった呻きが漏れた。 「痛いなら言えって言ったろ?」 動きを止め、その耳元で囁くと 「…言って、も、止めね…んだろ?」 低く途切れる声で、返事が返ってきた。 「泣いて頼めば考えてやらねー事も無いぜ?」 「は…誰が…」 強がりだけではない、僅かに笑いを含んだ声。 (イイな) ぞくぞくする。手に入ってるようで遠い相手が。堕ちないこの精神が。 逆に夢中にさせる。 身体を熱くさせる。 こんな倒錯じみた行為も、遊びと悪戯心と好奇心からの物にすぎなかった筈なのに。 壊してしまいたい程の嗜虐心と、本人の意に反するであろう快楽に溺れさせたい、征服欲。 どーやら自分は、女の子に対してはかなりマゾっ気の強い方だが、男に対してはサドらしいなーと思いつつ。 (でもこんな事、この男相手じゃなきゃ考えつかなかったろーな) これってもしかして。 うん、やっぱそーだな。 うんうんと一人納得し、サンジは次の行動に移った。 「………ッ」 いきなり全て引き抜かれ、ずるりと粘膜を引きずり出すような感覚に、ゾロは息を飲んだ。 身体の震えも止まらない内に、仰向けに体勢を返される。 投げ出された足を開き、再び身体を割り入れてきたサンジが、自身に手を伸ばしローションで表面が濡れ光るゴムを取り去る。 「生のが早くイけるし、てめぇも多分楽だぜ」 「…気遣い、ありがてぇこって……」 下肢に押しつけられる熱に、再びの衝撃を予感して、ゾロは固く目を閉じた。 「ゾロ」 「ああ?」 「いきなりだけどさ」 「…んだよ」 「てめェに惚れたわ」 「!? ────うあッ…!!」 突然の、予想外の言葉に思わず目を見開き、「何を一体」と聞き返そうとしたところへ。 押し当てられていたモノをいきなり半分程挿入され、問い掛けは悲鳴に変わった。噛み締めそこねた唇から漏れる悲鳴を吸い取るように、サンジが唇を深く重ねてくる。 浅目の侵入で動きを止めたサンジは、ゾロの腰へと回していた手を前へと動かす。 萎えてしまったゾロの物を探り当て、指を絡めてゆっくりと動かすと、サンジを包み込む粘膜が収縮する。キツく締めつけられる感触に、触れ合わせたサンジの唇からも小さな声が零れ、その振動がゾロにも伝わった。 動きが止まった事により少し落ちついていたのに、今度は下肢を嬲る指に悩まされ、ゾロはサンジから顔を背け、身を捻る。 直に触れられ、扱かれ、先端を悪戯に抉られる感触。芽生えた快楽は、やがて波のように身体を舐め上げ、サンジが侵入している部分の筋肉が、誘い込むように動くのすら判ってしまう。 その事実にゾロは焦って、サンジの腕から逃げようと試みた。 痛みを感じてるだけの方が、精神的にははっきり言って気楽だ。 こんな、男のモノを突っ込まれて女みたいに犯された状況で、快楽なんて感じるのはやはり屈辱感がある。それも相手はサンジなのだ。面白がって何言われる事か。 そう思って。 なのに。 「駄目、逃げんなよ」 「あ…!」 自身を強く握られ、同時に中を抉られる。浅めに、前立腺を狙って突き上げられた感覚にゾロの身体が大きく跳ねた。 「気持ちイイんなら、ちゃんと感じてろ」 それにさ、と言葉を続けながら、再びゆっくり体内を擦り上げる。 「惚れたって言ったろ? やっぱイイ顔見たいしさ」 「……てめ……」 ふざけてんじゃねェ、と途切れる声で悪態をつく。 「ふざけてねぇよ」 自分の快楽を追うだけのものではない、ゆっくりとした律動。それはゾロが慣れるまで続けられる。 「……ぅ…」 きつく顰められていた眉間の皺が、少しずつ消えていく。 「なあ、悪くないだろ? 今さあ、あんた俺に抱かれてんだぜ?」 そんな言葉にすら震える身体が、何だかほんとに愛しい。 潤んだ瞳で睨まれるのすら、下半身に響く程の精神的な悦楽を感じさせる。 すぐさま最奥まで激しく突き上げたい衝動を宥め、サンジは少しずつ深くを探り揺らしながら、その手でゾロの熱を追い上げて行った。 「オトコ(攻)初体験から抜かずの3発! おれってすげー!」 事が終わり、ぐったりとしたゾロの横にごろんと寝転がり、広いベッドの上をごろごろ転がりながらのたまったサンジの自画自賛に、 「…てめェはホントどーしよーも無いアホだな……」 かなり掠れた声で、ゾロが脱力したように言う。 「なーんだよー。てめーだってよかっただろ? 絶対身体の相性バッチリだって」 またごろごろと転がってきて、ぺたっとゾロにへばりついてサンジが嬉しそうに言う。 「女の子相手じゃこんな無茶できねーし、やっぱアンタいいなー。頑丈だし、最初はどーしよーかと思ったけど、途中からは色気出てきたし」 「頼む、一度死んでくれ……」 「また次の島でもラブホ行こうなー♪」 ………………………………………………(絶句) 「サンジ」 「ん?」 「テメェ、一度だけ…って、言わなかったか…?」 「ああ、でも勿体ねーじゃねーか」 「何が!!!!!!」 防音だと先程聞いたので安心し、腹の底から思いきり怒鳴ったゾロに、 「惚れた相手と体の相性最高な事知っちまったんだぜー。一度きりなんて勿体ねぇ」 などと暢気にサンジが言う。 面と向かって改めて「惚れた相手」なぞと言われて、さすがに赤面して二の句が告げないでいると、そのぱくぱくと開きつつ無言の口に、柔らかく唇が重ねられた。 「おれはアンタと違って、約束も臨機応変に変化するわけよ。一番いい方向に」 「それは約束って言わねーよ!!!!」 ……一生のお願いが人生で何度もあるタイプだな、こういう性格は。 そう思ってゾロは頭を抱える。 かなり厄介な相手だ、こういうのは。口も達者で我が道を闊歩する。戦いや力比べならともかく、会話では丸め込まれてしまいそうだ。いやそもそもこんな事になってるのだって 気付いたら丸め込まれていたからなのだ。 でも。 困った事に、憎めないタイプでもある……。 「なあゾロ、てめェも早くおれの事好きになれよ」 「何言ってやがる…」 「カラダから愛が芽生えるってのもイイじゃねーか。らしいだろ?」 「バーカ」 「開き直れば楽になれるぜ?」 「………寝る」 こんな風に、これからもサンジとずるずると行きそうな予感に、ゾロは溜息をついて布団に潜り込んだ。 困ったもんだと眉を潜めて。 だけど、へばりついているサンジを引き離す事をしなかったあたりに、無意識の答えを返している事に、ゾロ本人は気付いてはいなかった。 サンジが声を立てず笑った事も気付かないまま、疲れた身体はあっという間に眠りに落ちて行った。 |
やまおちいみナッスィンッッ!!!(おかま声で)
同人の方で、あまりにシリアス(のつもり)をずっと書いてて
終わった途端反動で、かつてない程の馬鹿話書きたくなり。
こんなどーしよーもないアホ話(それも長い)を書いてしまいまし太…。
ゾロBD企画にしよーと書き始めましたが、あまりにゾロに
申し訳ない内容なので止めました。そりゃそーだろう;
…そーいや、大きさ勝負の結果はどーだったんでしょう??
こんな馬鹿二人文を気に入ってくださったAr.NORIKO様、
ありがとうございます///よかったらもらってやってください
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