手



今朝は何故かカナリ早起きをしてしまい
何もすることのなかった俺は、酒でも飲もうとキッチンに向かった
ドアの前まで来ると、いい香りが漂ってくる
あまり物音を立てないように、静かにドアを開ける
そこにいたのは、いつになく真剣な顔をしたサンジ…


「ぉっ、ゾロにしちゃぁ早起きだなーなにかあったか?」
「…いや…それよりお前、いつもこんな時間に起きてるのか?」
「そうさ、これでも結構苦労してんだぜ?」

料理を作る手を休めることなく話す
そんなサンジに、じゃぁ酒もらってくからなんて言えるわけもなく
戸惑った―――

「で、お前は何しに来たんだ?酒ならそこの棚に入ってるぞ」
「ぁ、あぁ…」
「…どうした?俺の料理捌きに見惚れでもしてるのか?」
「まぁ…」
「…ぇ?」
「それより、ここにいたら邪魔になるか?」

ニコニコと笑いながら、嬉しそうに話すサンジを見ていると
性格に似合っていないことをポロッと言ってしまうことがある
そんな自分が嫌なわけではないが、言った後のことを考えると
気まずくて、最後まで言えたためしは一度もない
サンジがその言葉を望んでいたとしても…

「別に、盗み食いするわけでもねぇなら、いてもいいんじゃねェか?」
「じゃぁ、ちょっと休ませてもらうぞ」

壁際よりかかって座り、正面にサンジが見える形になる

「(たまにはこんなのもいいな…)」

いつも喧嘩ばかりだし
セックスの時だって―――
こんなに落ち着いて2人でいることなんて、めったにない
そんなこんなで、ホッとしてウトウトと眠りに入る






どのくらいの時間がたったのだろう、いきなりドアが開く音がする

「サーーーンジーーー!!めしーーーーー!!」
「はいはい、もぅすぐできっから外で待ってろ」
「ぉう!早めによろしくっ!」

パタンとドアが閉まって、ルフィーが出て行く
この時はじめて、外が騒がしいのに気付く

「(ぁあ…もう朝か?)」
「ぃって…またやっちまった…」
「…?」

小さな呟きが聞こえる
最初はなにをやってしまったんだ?と分からなかったが
サンジが俺の方を向き直った時すぐに分かった

「お前でも指を切ることがあるんだな」
「!?…ぉ、おまっ起きて…」
「俺だって、あんだけ大きな音がすればいくらなんでも起きるぜ?」
「ったくこんな時に限って…」

ブツブツと文句を言いながらも、指を流水につける
また…ってことは、よくあることなのだろう
ルフィーがああやって入ってこないのは、どっかの島にいる時くらいなものだろうし
集中してるとこ驚かされちゃぁだれだってビックリはする

「なぁ、誰にも言うなよ…?」
「あぁ、分かってる」

そういって頭を掻きながら立ち上がり
キッチンを出た―――



* * *


「(くそ…血がとまんねぇ…)」
さっきゾロが出て行って、今までの時間
ずっと水に指をつけているがなかなか血が止まらない
今回は案外深くキズを入れてしまったらしい

「あぁー早く飯ださねェとルフィーがううるせェのに…」
自分の情けなさに悲しくなる
ふぅ…と深い溜息をつき、なかなかとまらない血を見る
突然、ガチャとドアが開く音がして、慌てて水を止める

「ぇっとその…って、ゾロかよ…」
「随分な慌てようだな」
「まぁな…今度はなんだ?」
「ほらよ」

ゾロが、俺の切れていない方の手を取り
手のひらに何かを乗せる

「まぁ、ないよりはましだと思う…」
「…?」

ゾロの手が外され、出てきたのは絆創膏だった

「もしかして…お前コレをとりに行ってたのか?」
「まぁ…チョッパーに説明するのが大変だったんだからな…」
「…ゾロっ」
「…っ!?」

無理やりに顔を引き寄せ、キスをする
突然のことで、半開きだった口に舌を入れこみ
ゾロの舌と絡ませる
二人しかいない静かな空間に、水音だけが妙に響いて聞こえる

「…サンジ…っ…」

目をきつく瞑って…でも、キスを拒まないゾロがあまりにも色っぽくて…
服の中に手を入れ込み、乳首を摘む
小さく体を震わせて
快感にも変わるその痛みを受け止めているゾロが愛おしくて…

『サーーーーーーーーーンジーーーーーーー!!』
『めしーーーーーーーーー!!』
『めしーーーーーーーーー!!』

しかし、いいことは続かない
外から、バカ3人組の声がキッチンに届く
それを聞いて我に返ったゾロが、俺の肩を押し、体を離す

「ゾロ…?」
「そういや飯だって言ってたな…って、お前…手は…?」
「ぁ…ヤッベ!」

行為の間は、ずっと腕を挙げていたものの
出血はおさまっていない
手のひらにまで血がついている

「早く絆創膏…」
「…わーったよ、つけてやりゃぁいいんだろ?」

嫌そうな顔をしながらも、手際の悪い手つきで絆創膏をつけてくれる
俺がニコニコしていると、「もぅ二度と切るんじゃねーぞっ!」
と言って、出て行ってしまう

『お前ら、もぅすぐだから静かに待ってろだとよ』

そうゾロの声が聞こえ、俺は急いで最終準備にかかった

-END-




「虹時計」のカズさまから、相互リンク記念に頂いたサンゾロ小説ですv
サンジが流血! ……萌へ(何)
つい流血プレイになだれ込むのかと思った邪人間ですみません…||||
サンジの傍で癒されてるゾロにも萌へです。メロリンラブですねゾロ+
サンジが愛されててしあわせでしたvありがとうございました!

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